イタリアで貨物列車が脱線、爆発 16人死亡

 6月29日午後11時50分ごろ(現地時間)、イタリア・トスカーナ州のヴィアレッジョ(Viareggio)駅近くで、液化石油ガス(LPG)積載の貨物列車が脱線、2両が爆発し、周辺の民家の住民など16人が死亡、30人が負傷。周辺の建物が倒壊し、現在も数人が行方不明。
(参考=47Newsla repubblica.it
 たった数両の貨車の脱線で、周辺の建物までもが崩壊してしまったという恐ろしい事故です。

 ヴィアレッジョ駅はピサ−ジェノバ間を結ぶ幹線にあり、ルッカ(Lucca)経由フィレンツェへの路線が分岐する主要駅。インターシティユーロスター・シティも一部が停車します。

 事故を起こした列車はピエモンテ州のトレカーテ(Trecate)発ナポリ近郊のグリチニャーノ(Gricignano)行きで、電機(E655 175)+タンク車14両の編成。脱線転覆したのはタンク車5両で、機関車は脱線していません。

 タンク車はいずれもアメリカの車両リース会社GATXの子会社、GATX Rail Europeの所有する車両。同社はドイツ、オーストリアポーランドに拠点があり、事故車は1両目がポーランド(PKP)、その他はドイツ(DB)所属だったようです。同社は特にタンク車のリースに特化しているようで、サイトでは「one of the largest and most diverse rail tank car fleets in Europe」と謳っています。今回の事故列車のタンク車はいずれもEUの保安基準に適合しているとのことです。

 脱線の原因について、FSグループCEOのMauro Moretti氏は、タンク車の1両目の車軸が破損したとの見方を示しているようです。
(参考=Ferrovie.it OnLine
 機関車が脱線していないことから、この可能性は大きいでしょう。また、鉄道労組は「貨車の車軸が破損するのは典型的な事例で、危険が大きいにもかかわらず今まで考慮されてこなかった」として、大事故には至らなかったものの、最近も同種の事故が発生しているとしています。確かに、原因は不明ながらタンク車が関わる事故で一部路線が不通になっていたことが6月22日付Ferrovie.it OnLineでも取り上げられています。

 貨車の爆発といえば2004年に北朝鮮の龍川駅で起きた事故が記憶に新しいところですが、まさかヨーロッパでこんな事故が起きるとは…。鉄道は最も安全な輸送手段と考えられているからこそ、危険物の輸送にも使われるわけですが、こういった事故はその信頼に疑問符をつけることになりかねません。車両の安全基準の見直しは必至でしょう。ヨーロッパでは貨車に限らず機関車や旅客車両もリースが全盛ですが、原因によっては貸す側の安全対策が厳しく問われることにもなるでしょうね。

 でも考えてみれば日本を含め、世界中ではさまざまな劇薬や可燃物を載せた貨物列車(や、トラックやタンカー)が毎日数え切れないほど行き交っているわけで、そのほとんどが安全に輸送されていることを考えると、そういった仕事に従事している人々に畏敬の念を覚えます。

 しかし、最近鉄道事故がやたらと多いですね。