台北MRT 内湖線が開業

 4日、台北捷運(MRT)の新交通システム、内湖線が正式開業。
(参考=International Railway Journal台北MRTのサイト
 内湖線は、既存の新交通システム路線である木柵線の延伸として、同線の北の終点、中山国中駅から松山空港などを経て南港展覧館駅までを結ぶ全長14.8km、全12駅(高架10、地下2)の路線。木柵線と共通の運行システムを導入し、列車運行上は1つの路線として直通運転を行います。列車は完全自動運転のゴムタイヤ式電車4両編成で、電気方式はDC750V。本線上の最急勾配は58‰、最高速度は70km/hで、最小運転間隔は90秒です。「正式開業」というのは、数日前から沿線住民向け試乗会を行っていたからのようですね。

 木柵線のシステムはVAL。VALはフランスのMatraが開発したゴムタイヤ式の自動運転交通システム(AGT)*1ですが、Matraは会社がなくなってしまったので現在はシーメンスが開発を引き継いでいます。ヨーロッパではフランスのリール、トゥールーズ、レンヌ、イタリアのトリノでメトロとして運転されているのがメジャーなところでしょう(あと、パリ・オルリー空港とCDGにもある)。アジアでは今のところ台北だけですが、ソウルに導入計画があるようです。
 VALと日本の新交通システムを比べた場合、外見上一発で分かる違いは、軌道の左右にある集電用レールと案内軌条が一体化しているところ。そのため、軌道は高い側壁などが必要なく、平べったいというかシンプルな外見をしています。また、ポイントの部分は中央にある案内軌条で切り替えるシステムです。要はパリのゴムタイヤ地下鉄から鉄車輪・レールを取り去ったような感じです(と思います。アレはポイントでは鉄車輪とレールで案内している)。*2


 というわけで木柵線はVALだったのですが、内湖線のシステムを担当したのはボンバルディア。今回の開業用に導入された新車202両も全てボンバルディア製です。そして、内湖線−木柵線の直通運転を行うために、木柵線のシーメンス製運行システムもボンバルディア製の移動閉塞式運行システム「CITYFLO650」に入れ換えたとのことです。要はMatra/シーメンスのシステムをボンバルディアのシステムにほとんど全部取り替えてしまったということでしょう。「VAL」はシーメンスの商標でしょうから、他所のメーカーは使えないんだと思いますが、ボンバルディアのパンフを見ても「VAL」という言葉は出てきません。
 「VAL」が運行システムを指すのか、軌道構造まで含めたシステムを指すのかによっても変わってくるでしょうが、つまりは、木柵線−内湖線は「VAL互換AGT」になったということでしょうか?うーん。


 ちなみに開業から6日までの3日間は、台北ICカード「悠遊カード」で乗車した場合5割引という大盤振る舞いをしたそうです。木柵線は一応全線乗ったんですが(その割に写真がなかった)、新開業区間もいずれ乗りたいです。ああ夜市に行きたい…。

*1:Automated Guideway Transport。要は新交通システムの英語での呼び名

*2:VALシステムについていい本かサイトを知ってる方がいたらぜひ教えてください。仏語は勘弁